介護が必要な状態は突然にやってくるものです
自分の家族や知人やもしくはあなた自身など、大切な人が要介護者になってしまったときに、あるいはなりそうなときに慌ててしまい、それから介護保険に気がつくのが現実。
突然にやってくる家族介護にそなえ、落ち着いて対応できるよう、介護保険サービスを開始するときの基礎知識と気持ちの準備を進めておきましょう。
困らないように知っておきたいあれやこれや
家族介護者はみんな同じ思いを抱えている
〇家族が介護をするのがあたりまえ。家族が居るのに介護を人に頼むなんて、ご近所にどう思われるだろうか?
〇みんな仕事を持っていて誰も介護できるものがいない。自分たちの生活がこわれてしまったら困る。
〇子どもが小さくて、経済的にも時間的にも余裕がなく、介護をすることはできない。
〇施設で見てもらえばよいが、本人も年金生活だし家族もゆとりがなく、費用の捻出は難しい。
〇離れて暮らしているので時々しか面倒を見に行ってやれない。急に何かあったらどうしようかいつも不安が大きいが、一緒に暮らせない事情がある
家族介護者が決して孤立することがないように、介護保険サービスがあります。
はじめて介護保険サービスを利用する方に共通する疑問はQ&A形式でまとめています。
介護の主役は家族
在宅介護を行うのは確かに大変なことですが、大切な人への介護生活は、なにものにも変えることのできない、大きな人生の喜びを与えくれるものです。
専門職から見ても在宅介護にかなうものはありません。
支援者たちは、膨大な知識を会得し、利用者様及びご家族の明日がより安心で穏やかなものになるよう援助を惜しみませんが、ご家族の代わりは出来ません。
いつも笑顔でよく気がつくサービス援助者よりも、たとえ何も言わなくともなにもしなくとも、ご家族が傍に居てくれる方を望んでおられるものです。
そして支援者のすべては利用者様の笑顔で幸せになれるのです。
利用者も援助者も精神的に無理をしないで、こころから健全な関係を保つために、遠慮しないで支援者の力を利用してください。
介護保険制度はそのために設立されています。ご自身やご家族が、精神的にも経済的にも負担を減らして、最後まで自分らしく住み慣れた地域で暮らせるための制度なのです。
いまや病院で受ける治療のほとんどは在宅で可能になった
在宅医療や在宅介護は大変、という観念は現在では当てはまらなくなりました。
先進的な治療や、術後の予断を許さない状況などはともかく、ある程度安定した状態であれば、在宅でできる治療は多くあり入院中とほぼ変わらないといえるでしょう。
高齢の方や、まして認知症のある方の場合には、なにより環境変化をなくし、いつもの場所でいつもの顔で生活を継続することがとても大事になります。
末期がんの緩和医療も在宅で問題なく行うことが可能ですし、医療と介護のスムーズな連携により、利用者者は満足度の高い日常生活をおくることができるようになります。
今は、「医療も介護も自分の家で、時々病院」というのがライフスタイルになっています。
支援者にはありのまま相談するのが良い
決定権も、こうありたいという意思も、利用者様ご自身でありご家族なのです。
在宅介護には自己責任が伴いますが、辛くて逃げたくなった時こそ、支援者に心のうちを打ち明けてください。
ご家族に休息を与えてくれ、対象者とご家族の関係を修復し、また頑張ろうと思わせてくれるでしょう。支援者はそういう知恵や連携方法や知識を熟知しています。
こんなこと相談していいのかな、と思わずに。
良い子より、問題児ほど印象に残り、気持ちを割くでしょう、あれと一緒です。
支援者だって人の子、一生懸命になってもらうには、少々問題を投げかけたほうが良いと思います。
支援者は守秘義務のもと健全な援助関係を構築し、ご本人が住み慣れた場所と愛する家族のもとで、最後まで暮らしていけるように応援いたします。
日々介護に明け暮れるご家族が、充足した在宅介護を過ごせるための支援者でもあるのです。